小塩丙九郎の
歴史・経済データバンク

18. 日本第3の大経済破綻


〔5〕ハイパーインフレは避けられない

(8) 赤字国債はいつまで発行し続けられるか?

 それでは、こんなことはいつまでも続けられるのでしょうか? そうでは、ありません。今の政府の経済政策、つまり、〔日銀の通貨大量発行→政府の赤字国債の大量発行→日銀の銀行からの国債買い取り→銀行での現金資産の積み上げ〕というスキーム(仕掛け)は、2020年過ぎ頃までしか続けられません。なぜなら、その頃に銀行には日銀に売るべき国債はなくなってしまうからです(下のグラフの赤字点線矢印を参照ください)。

出典:日本銀行のマネタリーベースと『資金循環統計』データを素に作成。

 日銀は財政法の制約により、直接政府から国債を買い取ることができません。そのような制限があるのは、日銀が国債を買い取ることができるのであれば、それは政府の野放図な財政を許すことになり、そのことは財政規律を失わせ、大量の国債発行が悪性の高率インフレ、さらにはハイパーインフレを招いて経済混乱をきたす恐れがあることが、戦前の経験からわかっているからです。だから日銀は銀行の国債を買い取ると言う“脱法行為”を行ってきたのです。そしてそれが可能なのは、銀行が政府官僚と日銀官僚の管理下に置かれているからです。しかしそれでも、ないものを買うわけにはいきません。“マイナス金利”という奇妙なアイデアを政府と日銀の官僚たちはつくりだしましたが、“マイナス国債”と言うようなものを銀行がつくりだすことはできないからです。

 国債を銀行以外が買い増すことは今後できそうにもないということは、以前別のところ(ここ)で説明してきました。だから、銀行の金庫に売れる国債がなくなった時、政府は国内市場では国債を売れなくなるないのです。

 それでは政府はその頃、赤字国債を発行しないで済むような状態になっているでしょうか? 政府は繰り返し、2020年にはプライマリーバランス(基礎的財政収支)をゼロにすると言ってきました。それは、当年度の歳出予算は当年度の歳入、そしてその大半は税収ですが、で賄うと言うことです。それでは、これまでの歳出予算と税収との関係はどうだったのでしょうか?

2017年1月4日初アップ 2017年2月28日最新更新(銀行資産データの訂正と追加)
©一部転載の時は、「『小塩丙九郎の歴史・経済データバンク』より転載」と記載ください。



end of the page