小塩丙九郎の
歴史・経済データバンク

21. アメリカの格差問題


[1]アメリカとはどんな国か?

(8) ITベンチャーはすべてのベンチャーの原型となった

 ITベンチャーとしては、PCを産んだアップルや、その頭脳となるCPU(演算用半導体)をつくったインテル、PCを動かすOSを開発したマイクロソフト、インターネット回線をつなぐルーターを開発したシスコシステムズ、通信セキュリティベンダーのシマンテックやマカフィ、さらにのちにスマホのCPU製造者となったクォルコムなどがあります。

 この革新的なIT機器を産んだベンチャーの形は、インターネットを活用した流通業の新たな形をつくったヤフー、グーグル、アマゾンといった企業に拡大します。そしてさらに、技術革新を産み出すことが証明されたベンチャーという形態は、医薬産業に拡がって行きました。

 従来の医薬は、物理化学を基礎として、違った工業材料を組み合わせて効能のある新薬を力任せに選び出すという大資本企業によってつくられていましたが、それが限界に達し、1990年代からは生物化学を基礎としたまったく違った技術により新薬がつくりだされるようになりました。ここでは、技術者の革新的なアイデアこそが必要とされ、既存の大企業では、ベンチャーの産み出すものに匹敵する効能をもった新薬を開発することはできなくなりました。

 今や、新薬の大半はバイオ・ベンチャーと言われる企業によってつくりだされており、既存の医薬企業が生き残る方法は、バイオ・ベンチャーのつくりだした新薬の特許を買うか、あるいはバイオ・ベンチャーそのものを買収するかの何れかとなりました。これと同様のことが、医療機器産業界においても起こっています。

2017年1月4日初アップ 20〇〇年〇月〇日最新更新
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