この章のポイント
- 若者は格差社会の被害者であるが、それ以上に未来を築くチャンスを奪われているということがより深刻である。
- アメリカの所得格差を産んだのは先端産業の発展、そして日本の所得格差を産んだのは企業経営者の強欲である。
- 日本の世代間格差はもうすぐ大幅に縮小する。
- アメリカは1980年代後半以降安定した経済成長を続けているが、日本は1990年代後半以降経済後退している。
- 発展の条件は政治的自由と経済的自由、そしてそれらは一体である。
- 日本にもかつては政治的自由も経済的自由もあった時も場所もあったのだが、奪われた。
- 2つの自由を取り戻すことが、若者の未来を築くために必要な条件である。
- 日本は幕末以来2度の大経済破綻を市場の自由がないために起こし、3度目が間近に迫っている。
- 今度の大経済破綻後の日本をどうつくり直すかが、現代の若者に問われていること。
〔1〕 若者にとって格差より重要な問題がある
日本の若者に覆いかぶさっている基本的な問題は2
つです。それは、格差社会の被害者の立場に立たされていること、そしてもう1
つは、自分たちが生き延びる未来を築くチャンスを日々奪われていることです。このうちより深刻なのは、後者の方です。
格差社会については、日々多くのことが言われています。しかし、正確に現実を捉える所見は若い皆さんには示されていません。まずは、そのことを先に明らかにして、若い皆さんの置かれている状況についての正確な理解を得られるようにします。そこでは、国内問題としての格差ということばかりではなく、世界的な視野からの格差の原因と実情を明らかにして、日本が独り異常な国であることを示します。
次に、そのような正しい世界と日本の総合的な現状の理解を踏まえながら、日本の若い皆さんが未来を築くチャンスを奪われているとは一体どういうことなのか?、そのことについて紹介してきます。
以下に示すのは、概括的な説明です。そしてそれは、このデータバンク全体で提供されている厖大な詳細データによってその背景が説明され、証明されています。そしてそれらのデータは、必要に応じて日々アップデート(更新)されています。そういったこのデータバンクの構成を理解しながら、以下の説明を読んでください。
2017年1月4日初アップ 20○○年○月○日最新更新
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